「次のステップへ導く」ための評価とは
今月は弊社の中で「評価」についてどう考えるかを河盛さんと古澤で議論してみたいと思います。
古澤:さっそくですが、まずは弊社で行っている評価業務をざっくりと言語化すると、いかがでしょうか。
河盛:現在は2つの軸で業務を行っていて、主に国内と海外に分かれていますかね。国内では企業様からいただいた研修依頼で、研修前後の会話力と言語知識面での評価をお出しして報告しています。海外で行っているものは、その企業様で働いている方の日本語の評価を、全く日本語学習に関わっていない私たちが第三者的に評価をして進捗を見させていただき、学習の進み具合や達成度を出させてもらっているっていうものですね。
古澤:様々なご依頼をいただく中で、あえて企業に特化しますが、企業様に評価をお出しするときに大切にしていることや意識していることはありますか。
河盛:企業様と最初にお約束した最終ゴール、あと限られた研修時間と費用との中で結果を出していくんですが、その企業の担当者の方が見て、 じゃあ(ゴールのために)次に何をやらなきゃいけないかとか、次にやるべきことがわかるような見せ方ができるように 気を付けています。
古澤:じゃあ、あれですね、現状を報告するのも大事ですが、どちらかというとゴールに向けた道しるべという見せ方を意識している感じですかね。
河盛:そうですね。なので、弊社での評価は「1つのテキストをやり終えました。担当した講師が『上手になったね、がんばりました』」って主観的に思ったものを評価としていないことはもちろん、何かテストで合否を判定をしたり、足切りをしたりするためのものでもないので、その受講者の方の現状に対して進捗はどうかっていう、ゴールまでのプロセスをマイルストーン的に測っていって、 じゃあ現状こうだから、じゃあ次何をしなきゃいけない、どこを補強しなきゃいけないとか、どこに力をかけて、どこをちょっと優先度下げたりとかっていうのがわかるような見せ方ができると1番いいのかなと考えています。
古澤:それは研修をデザインするものとしても必要な要素ですね。
河盛:てことですよね。なので、そういった評価があれば、シラバス・カリキュラム内でも次に伸ばさなきゃいけないポイント、 補強してあげなきゃいけないポイントがわかるので、研修の中でも練習量増やすところとか、省いていいところとかがわかってくるというところかな。
古澤:講師間のコミュニケーションとかにもいい影響が出ますよね。
河盛:そうですね。講師同士も、例えば評価をグラフにしてお見せするんですけど、それで「ここはクリアできたが、ここが足りない」っていう共通の認識として見えるので曖昧な議論になりにくいと思います。
古澤:目指すため・議論するための軸やビジョンがあるかないかってやっぱり大事っていうことですよね。講師間はもちろん、企業様と研修を受ける受講者の方も、その認識を合わせないといけないということですよね。
河盛:そうですね。最初の企業様とのゴール観のイメージがあってないと、その後の評価や研修デザインが難しくなりますよね。私たち教育機関側が「やりました」と評価を出しても、受け取った企業様側が「思った通りのものでない」となってしまうので…
古澤:「話せるようになってほしい」のにペーパー試験の高い点数を目標としてしまっては意味がないし、「話せるように」も互いのイメージを擦り合わせる必要がありますよね。点数がとれているのに、なぜか会話が上手くいかないというのはよくあるご相談なので、それがどこに原因があるのか見えるようにするのは、認識合わせにおける大事な評価の役割だと思います。
河盛:例えば来日する時点で、日本語能力の高い級の資格を所持していたとしても、物事の説明をする際に長い固まりで話し始めると着地点がわからなくなり最終的に何が言いたいのか表現できないという方がいます。その時に、企業様や受講者の方に評価のグラフをお見せして「知識は申し分ないけれども、話すときに一貫性を担保する力が足りていない」と具体的にフィードバックすることで、限られた時間をしなければいけないことに集中して使えるという効果が狙えます。
古澤:企業様も受講者の方もまた教育機関の私たちにとっても「ヨカッタ」につながる手段として、そこに評価が存在するんですね。
社内ではこういった会話が日々繰り広げられております…。
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